模試と合格可能性判定の舞台裏 その3

模試において,どれくらいの[ 判定 ]が出れば受験の[ GO サイン ]と考えてよいのか … という点について,今回は解説していきます。

[前回までの記事はコチラ]

まず,受験生の皆さん,あるいは,保護者・高校先生の皆さま,模試における合格可能性の判定が,どれくらいであれば受験してもよい … と考えられるでしょうか?
C 判定でしょうか? B 判定でしょうか? いやいや A 判定でなければ … ?

これまでの経験則では『 合格可能性 80 %以上が欲しい 』というのが8割以上を占めているように感じられます。特に保護者の皆さまは,ほぼ全員に近い方々が『 80 %以上 』と異口同音にお話しされます。確かに,そこまで成績が良いと,安心感がありますね。

しかし,実際の合否データをみますと …

マーク型模試,記述型模試など,種類の異なる模試のすべてにおいて,ある特定の志望校に対する合格可能性(合格判定)が《 50 % 》と判定された受験生の実際の合格率を調査してみますと,ナント,実際の合格率は 80 %程度となっているのです!

もちろん,面接・小論文等が課されているケースや,調査書・志望理由書等の《 書類 》の配点化の度合いにより,合格率が《 80 % 》を下回るケースもありますが,おもに難関といわれる受験では,ほとんどが《 80 % 》を上回っているようです。

つまり,単発の模試受験ではなく,複数回受験した模試結果をトータルで評価してみますと,目指すべき『 合格可能性(合格判定)』とは,《 50 %以上 》ということになります。

特に,受験が近づいてきた頃の模試において,3回,4回と《 合格可能性 50 % 》が連発するような状況になれば,経験則上は,合格可能性 80 %以上に限りなく近づいてきた … といえそうです!

もし,本当に《 合格可能性 50 % 》… 合格できるか否かが本当に半々という状態 … で,第1志望校にトライしたい! ということであれば,模試成績表の合格可能性は《 30 % 》程度となります。一般的には[ D 判定 ]のゾーンとなります。
特段,B 判定や A 判定をとらずとも,充分に合格圏に入っていることが多いのです。
むしろ,難関校ほど,模試でトップに近い成績だったとしても,B 判定になるかならないか … という具合に,一見,合格可能性の判定結果は低い評価として印字される傾向が強くなります。
(ゆえに,模試成績で一喜一憂するのは,少々残念なことなのです。)

さらに,ある模試で,ある志望校が《 合格可能性 30 % : D 判定 》という評価となり,順位も 150 名中 58 番(募集定員 40 名,セ試 900 点満点,2次 400 点満点)という状況だったとします。
募集定員からはるかにはみ出していますので,あぁ … もうダメだぁ 〜 という心理状態になりそうですね。

しかし … 本当にもうダメなのでしょうか?

確かに順位は 150 名中の 58 番ですので,前回でお話しいたしました[ 志望者数の 1/3 以内 ]には入っていません。したがって,合格可能性 50 %を下回っているといえます。
ところが,セ試 900 点で考えてみますと,約 1 %の得点率の違いは,募集定員の 15 %程度の順位差と対応していることが分かっていますので,900 点の 1 %,すなわち 9 点ほど高くとっていますと,募集定員 40 名の約 15 %となる《 約 6 名 》ほど上位にいくことができます。

仮に,募集定員 40 名と同じ順位となる 40 番( 150 名中)となるためには … と考えてみましょう。そのためには,あと 18 名ほどを抜いて順位を上げる必要があります。
さて,18 名を抜き去るには,セ試 900 点満点の場合(理論的には)あと何点必要となる計算でしょうか?

上記の概算から,18 名を抜き去るには,セ試 900 点満点にて 18/6 = 3 %ほどの成績アップ,すなわち 27 点を,5 教科 7 科目トータルでアップできるように対策すればよい … ということが分かります。

セ試英語・国語・数学で各々 5 点ずつ,理科・地歴公民3科目でそれぞれ 4 点ずつアップさせるという戦略がたてられます。必ずしも無理 … という範囲ではないように思われます。もちろん,セ試過去問題を含めて,きっちりと演習を積んでいく必要性はありますが,第1志望校であれば,とても届かない・無理 … というレベルではないのではないでしょうか?

例えば,得意な理科や地歴公民でもう少し得点を上乗せできれば,英国数の負担はそれだけ少なくなります。もちろん,200 点満点の英国数を頑張るのが最重要課題ではありますが … 。

このように考えていきますと,なにが無理で,なにが可能なのか … という意味での重点ポイントが明確になってきます。

もう無理だ,ダメだ … と思い込んでしまう前に,あと何点上げればよいのか? と,概算してみるのも,重要な受験対策となるはずです。そして,それ故,模試等における合格可能性(合格判定)という評価を,気にし過ぎないようにして欲しいと思います。

投稿者プロフィール

繁泉 祐幸
繁泉 祐幸
東北大学理学部卒。かつては大手予備校・仙台校事務局長として運営全般の責任者を務め、地元テレビ局の番組出演も果たす。本校においては入試情報分析室室長を務め、東北6県の高等学校に赴いて講演活動等を行う。受験に対するモットーは『合格は100%技術である。』

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