3種の転換

“ 高1クライシス ” と呼ばれる現象の一つの要因とされていることがあります。
中学校と高校における学習内容の “ 激変 ” と,授業における “ 教え方 ” の変化です。
詳細は割愛いたしますが,確かに高校の授業は突然に難しく,理屈っぽく(理論が入り組んでいるように)感じられてしまうことがあり,問題の背景にある “ 構造 ” を理解していないから解けないのだ … という論評を耳にすることも多くなります。

ここでは,それらの分析や是非を問うことではなく,高校での勉強が “ 突然に難解に感じられる ” ようになる理由に,《 3種の転換 》が関わっているのではないかと指摘したいのです。
同時に,それらは,大学入試の “ 難しさ ” の主因でもあるようです。

[ 習うから学ぶへ ]

“ 中学校 ⇒ 高校 ⇒ 大学 ” と進むにつれて,教えられたとおりに覚えて解く(真似る)という学習態度から,どのようにして解くのか・考えるのかが問われるようになり,大学では,その問題が解けるのか解けないのか? … そのものを議論する機会がふえていきます。
つまり,“ まねる ” から “ 考える・まなぶ ” へと,変容していくものと言えます。
『 学ぶ 』の語源は『 真似る(まねぶ)』とされていますので,本来は,真似ることが学ぶことであるともいえるのですが,中学校までの『 習う 』と大学における『 学ぶ 』とは,確かに,大きく異なるようです。そして,高校とは,その遷移過程にあると考えてよいようです。
《 学習・習う 》が(どちらかといえば)受動的であるのに対して,《 学問・学ぶ 》が能動的な意味合いを含むことにもヒントがありそうです。
同時に《 学力の3要素 》の一つとして『 主体性・多様性・協働性 』が挙げられていることとも通じており,新学力観テストが進行中の今こそ,主体性をもって《 まなぶ 》姿勢が問われているようです。

[ 話し言葉から書き言葉へ ]

友達と会って … 「 寒いね ~ 」「 急にねぇ ~ 」
日常的な会話,例えばこのような《 話し言葉 》では,主語や対象,日時,環境,条件などの様々な要素が省略されることが多いものです。それらが,話し手と聞き手という,ある意味では “ 閉じた ” コミュニティのなかで “ 環境情報 ”(舞台設定)が共有されていることが前提となっているため,十分に意味が通じるわけです。
しかし,入試の場では,学科試験であれ,志望理由書・面接・小論文であれ,雰囲気や環境条件等は共有されていないことが前提であり,そこでは,一貫した明確な論理性が求められています
なんでそのような答案になったのかを受験生とお話しすると,会話からは,その問題を理解していることが分かるのですが,答案の記述は部分点すら出ないかもしれない … というケースに出会うことがあります。
《 書き言葉 》としての文章力が訓練されていないことが原因なのです。
評論文が硬い印象を受けやすいのは,論理を整えるための《 書き言葉(論理一貫性)》を多く含むためであり,小説に背景描写が多いのは,読者と環境情報を共有しようとするための《 話し言葉(舞台設定)》が多くなるという,書き方における性質上の差異があるとも考えられます。
そして,受験とは,論理性に基づいた《 書き言葉 》の訓練・鍛錬がベースになっているとも言えるのです。

[ 減点法から加点法へ ]

模擬試験では,一般的には “ 採点基準 ” という採点細則が模試ごとに設定され,複数の採点者によるブレがほぼゼロとなるように制限されます。その結果,誰が採点しても同じ点数となるように公平化・最適化されています。
これは,言い方を変えれば,いくら頑張って答案を書いても,採点基準から外れた記述は点数にならないことを意味し,これを《 減点法 》と呼んでいます。
しかし,入試では,一つの問題は一人の採点者が全答案を採点するのが基本です。
もちろん,複数採点者が関わることもありますが,採点状況をジャッジする判定者が必ず控えていて,徹底的な公平性を担保していることが知られています。
つまり,全答案に対して一律に適用されるのであれば,採点者の裁量が加味されてもよいことを意味しており,この採点法は《 加点法 》と呼ばれています。
(加点法では,書けば書くほど,加点される可能性がある(あくまでも可能性ですが) …  といえるかもしれませんね。)
現在,大学入試では《 加点法 》が主流であると言われていて,それゆえに模試で高得点を狙うような勉強法ではなく,自分のアタマのなか(どう考えたのか?)をきちんと記述できるような答案作成技法の質が問われているとも指摘できるのです。

[ 参考  Teacher’s voice ]
  大学受験に必須! 高校生のための読解力のつけ方  ⇒  ここをクリックしてください。
  みえる力 & みえない力  ⇒  ここをクリックしてください。
  《 つなぐ力 》の正体とは?  ⇒  ここをクリックしてください。

☆☆☆ 次回は [ 2つの学習計画法 ] の予定です。 ☆☆☆

投稿者プロフィール

繁泉 祐幸
繁泉 祐幸
東北大学理学部卒。かつては大手予備校・仙台校事務局長として運営全般の責任者を務めていたが,本校においては入試分析室・室長として、東北6県の高等学校に赴いて講演活動等を行う。
受験に対するモットーは『合格は100%技術である。』
 著作 『 The 王道 S5式メタ認知型 学習編 』
    『 The 王道 S5式メタ認知型 指導編 』
 (プリパス WEBSHOP 知恵の館文庫)

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