2つの学習計画法

早いもので,受験勉強1年間の 1/4 が過ぎようとしています。
もちろん,この 1/4 期間は,いわゆる《 スタート期 》なのですが,本格的な受験勉強の1年間が始まるという緊張感に加えて,花粉症やら春うつやら梅雨やら新型コロナ禍やら … ということで,“ 5月病 ”,“ 6月病 ” とも称されるような心身の不調期ともいえそうです。
多くはストレス等に起因する(軽度な)蓄積疲労や睡眠負債のような原因が隠れている印象ですが,もう一つ,学習計画がそれらの原因になっていることがあります。

目標を達成しようとする際に,多くの場合は “ 計画 ” が必要となるものです。
大学入試における『 合格 』にも,もちろん “ 学習計画 ” は必須といえます。
そして,この計画法には大きく分けて2種類があり,それぞれの特性をしっかりと把握して組み合わせることが重要となります。
受験生とお話ししていますと,その2種類の計画法のバランスが悪いために,成績伸長が抑制されてしまい,心身のバランスまで崩してしまっている … というケースが散見されます。

Waterfall 型(滝型)



上の水槽から溢れた水が滝のように次の水槽に流れ出していくイメージがあることから,このような計画法は『 Waterfall 型(滝型)』と呼ばれています。
全体が見渡せることから,中長期型計画 に向いているという特徴があります。
逆に,例えば上図でいえば,“ 頑張ったけれども8月中に化学問題集が半分くらいしか終わらなかった  …  学習計画はどうするの? ” という具合に,途中で計画が破綻した場合に,もう一度,計画全体を見直し,再計画する必要がある … という欠点 を持っています。
もちろん,それらを見越して,プランB,プランC というように,何種類かのバージョンを用意しておく等々の対策が考えられますが,実際のところ,勉強とは “ やってみないと分からない ” という面もあり,文字通り “ 計画倒れ ” になることが多いようです。
『 自分は計画どおりにうまくいかない … 』という悩みを持っている受験生の多くは,実は《 計画 》そのものが,大きな目標を立てることに都合のよい Waterfall 型でありながら,その内容は小さな目標をめいっぱいに詰め込んだ 過密スケジュール になっているか,目標という大枠のみになってしまい,何をいつまで・どうするのか? という 具体性がほとんどない  …  というのが実際のようです。

MVP 型(最小実現回路型)



『 MVP 型(最小実現回路型)』という呼称は聞き慣れない印象が強いと思いますが,“ 3日間 ” とか “ 1か月間 ” というスパンでの 短期集中型計画法 です。
“ とりあえずこの1週間は数学のベクトルに集中!” というような意味での《 とりあえず型 》と言い換えてもよいでしょう。
さらには,上図の “ 英単語帳3回復習 ” を “ 2回復習 ” にして,“ 英熟語帳1回みる ” を “ 2回復習 ” という具合に,6月の途中で変更することも可とします。
(このように,状況に応じてこまめに方向性を変えることを《 軸転換(ピボット)》といいます。)
もちろん,とりあえず  …  というのが MVP 型の特徴ですので,その短期集中型計画の一つ一つはきちんと3日間で終わりそうなのか否か? 等々の 自己チェック が欠かせません。
そして,この MVP 型計画法の欠点とは … 短期型であるがゆえに,つい枝葉末節にこだわってしまい,いつの間にか『 大きな目標 』を見失ってしまう危険性 を抱えているということです。

しかし,とりあえず3日間,1週間という 短いスパンを頑張ることを積み重ねていく ことは,とても重要な合格戦術となることには間違いありません。

Waterfall 型で大きなストーリーを形作り,MVP 型で,その時々に最適な学習計画を立てることで,密度の濃い勉強を行なっていくことが《 合格 》の必須条件となります。
つまりは 2種の計画法のバランス を上手にはかることが 最大のポイント となるのです。

☆☆☆ 次回は [ 伝える力とは? ] の予定です。 ☆☆☆

投稿者プロフィール

繁泉 祐幸
繁泉 祐幸
東北大学理学部卒。かつては大手予備校・仙台校事務局長として運営全般の責任者を務めていたが,本校においては入試分析室・室長として、東北6県の高等学校に赴いて講演活動等を行う。
受験に対するモットーは『合格は100%技術である。』
 著作 『 The 王道 S5式メタ認知型 学習編 』
    『 The 王道 S5式メタ認知型 指導編 』
 (プリパス WEBSHOP 知恵の館文庫)

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