つなぐ力 - 実践編その1

《 考える力 》とは《 つなぐ力 》であり,《 伝える力 》《 つなぐ 》ことから始まる …
このコラムでは,これまでこのようなことをお伝えしてきました。
そして,そのツール(シンキングツール)として,《 つながり 》を可視化する マッピング という方法をご紹介してきました。

今回は,《 つなぐ 》こと,《 つながり 》を可視化することをテーマにしたいと思います。

まず,次の問題を解いてみましょう。


[ 体験版 Reading Skill Test ]

問題文
江戸時代の天皇と朝廷は,幕府に完全に統制され,財政的にも幕府に支えられていた。幕府は朝廷に3万石を与え,そのなかから皇族や公家は家格に応じた禄高を得ていた。

問い
公家は( )から家格に応じた禄高を得ていた。

① 天皇     ② 幕府     ③ 皇族     ④ 朝廷
(東洋経済新報社『 AI に負けない子どもを育てる 』 新井 紀子 著)

上記( )に入れるのに最も適当なものを,① から ④ のうちから一つ選べ。

この体験版 Reading Skill Test(RST)のレベルは[ 超難 ]とのことです。



答えは[ ④ 朝廷 ]となります。

問題文は,教科書から抜き出した文章をそのまま掲載しているそうです。
“ 読めるヒト ” にとっては迷うことのない問題ですが,“ 引っかかってしまったヒト ” にとっては,確かに難解ともいえます。
『 幕府は朝廷に3万石を与え,そのなかから … 』という文章の『 そのなか 』の『 その 』が何を指すのか … というところがポイントとなりそうです。
(『 このなか 』という表現であれば『 3万石 』とわかるが,『 そのなか 』ということだから,『 幕府から禄高を得ていた 』という(妙な?)“ つなぎ方 ” をしてしまいそうです。)

そこで,上記の問題文を,このように 図式化(マッピング)してみたらどうでしょうか?

どうやら,上図の赤矢印の線が,どこに “ つながって ” いるのか を読みとることが鍵になりそうですね。
実際に,間違ってしまった方々のほとんどが,赤矢印の線を別のところにつないだり,そもそも赤矢印の《 つながり 》を意識できていなかったり … ということのようです。

『 幕府から禄高を得ていた 』という “ つなぎ方 ” をしてしまった方は,『 幕府は … 』というフレーズにある『 は 』という主語を表わす格助詞に反応した結果,『 幕府 』が主語となって『 禄高を得る 』につながる … という文章を想定しているように思われます。
しかし,それでは,
 『 幕府は禄高を得る 』
という妙な意味をもつ文章になるはずなのですが,“ 妙だ ” という印象を察知する故か,『 幕府は 』が『 幕府から 』に “ すり替わって ” しまい,
 『 幕府から禄高を得ていた 』 … うん,よしよし,これで意味が通る
という具合に(無意識のうちに?)アタマのなかで変換されてしまう印象です。

本来,このような文章は,書いてある通りに読む … (デノテーション : プラモデル型 のつながり )ということであり,言外の意味やら暗示することをくみとる等の読み方(コノテーション : レゴブロック型 のつながり)ではないのですが,どうやら,母国語であるが故に “ なんとなく読んでしまう ” ことがあるらしく,結果として誤読してしまうケースが見受けられます。
(いや ~ 歴史は不得意だから,日本史を選択していなかったから … と,《 論理のすり替え 》とも受けとれる言い訳を語った方もいらっしゃいましたが … )

☆☆☆ 次回は [ つなぐ力 - 実践編その2 ] の予定です。 ☆☆☆

投稿者プロフィール

繁泉 祐幸
繁泉 祐幸
東北大学理学部卒。かつては大手予備校・仙台校事務局長として運営全般の責任者を務めていたが,本校においては入試分析室・室長として、東北6県の高等学校に赴いて講演活動等を行う。
受験に対するモットーは『合格は100%技術である。』
 著作 『 The 王道 S5式メタ認知型 学習編 』
    『 The 王道 S5式メタ認知型 指導編 』
 (プリパス WEBSHOP 知恵の館文庫)

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